本日もロシア情勢についてです。
欧米の航空機リース会社がロシアの航空会社にリース(貸出し)している航空機が、ロシア側に奪われる(接収)危機にさらされている。
欧米はウクライナ侵攻への経済制裁としてリース契約の解除を表明しているが、ロシアは対抗措置として航空機を自国に強制的に囲い込む「接収」に動いたのだ。
そうなると、機体の回収はきわめて困難で、日本企業を含む金融各社が巨額の損失を被る可能性があります。
ロシアのプーチン大統領は14日、欧米などのリース会社から借りている航空機の所有権をロシアの航空会社に移譲することを認める法案に署名した。
ロシアがウクライナへの侵攻を本格化させて以降、欧米当局は航空分野でも厳しい経済制裁を課している。
各国はロシア航空機を領空に入れないよう動き、EUはロシアの航空会社に航空機を提供するリース会社に対し、契約の解除を要求している。
航空機の価格は1機あたり数十億円から数百億円と巨額です。
また、航空会社は航空機を所有せず、リース会社から借りているケースが多い。
リース契約の解除は、事実上、ロシアから長距離移動のための「足」を奪うことを目的としている。
航空機の部品やメンテナンスサービスについては、米ボーイング社がロシアの航空会社への支援を打ち切り、航空機の運航を困難にしている。
これはEUの制裁を受け、欧米のリース会社が航空機を回収する動きへの対抗措置と見られる。
当面の運航に必要な部品は、ロシアで確保した航空機同士で交換する見通しだ。
英国の航空情報会社サイリウムによると、ロシアの航空会社は8日現在、欧米など海外のリース会社から515機の航空機をリースしている。これは保有する航空機の半分以上に相当する。
資産総額は100億ドル(約1兆2千億円)近くに上るとみられる。
リース会社側は、ロシアが航空機を差し押さえた場合、投資コストを回収できず、多額の損失を計上しなければならなくなることを懸念している。
サイリウムによると、ロシアにリースしている航空機が最も多いのはアイルランドのエアキャップ(154機)。
日本企業では、三井住友フィナンシャルグループ傘下のSMBCアビエーションキャピタル(アイルランド、36機)や、オリックス、東京センチュリーが出資する航空機リース会社がロシア企業向けに航空機をリースしている。
短期的にはロシアからしたら、
「返さなくてよい。ラッキー」
となるかもしれないが、長期的に見れば、交換する部品も無ければメンテナンスも出せないので苦しめる制裁になるかと思います。
ここは、各リース会社に国が支援するなどで乗り切り、ロシアへの制裁を効果的にしてほしいと思っています。
今後の動向にも注目です。